作成者: @fujidig, 作成日: 2021/5/30
Moschovakisの"Descriptive Set Theory" (2009)の1f節のExercisesの解答です.
各Borel pointclass $\boldsig^0_\xi$は連続代入、$\lor$, $\&$, $\exists^{\le}, \forall^{\le}, \exists^\omega$と$\bigvee^\omega$で閉じていることを示せ。 $\boldpi^0_\xi, \bolddelta^0_\xi$の自然な閉包性質を主張し証明せよ。
次の3つの主張をまず示しておく。各pointclassはclopen集合を含むとして次が成り立つ。
項目1の証明。$P \in \bigvee^\omega \neg \Lambda$とすると \[ P = \bigcup_{i \in \omega} (\mathcal{X} - P_i),\ \text{each $P_i \in \Lambda$} \] と書ける。$f: \mathcal{Y} \to \mathcal{X}$を連続写像としたとき \[ f^{-1}(P) = \bigcup_{i \in \omega} (\mathcal{Y} - f^{-1}(P_i)) \] であり、仮定より各$f^{-1}(P_i) \in \Lambda$なので$f^{-1}(P) \in \bigvee^\omega \neg \Lambda$である。 よって連続代入で閉じている。
\begin{align*} P = \bigcup_{i \in \omega} (\mathcal{X} - P_i),\ \text{each $P_i \in \Lambda$}, \\ Q = \bigcup_{i \in \omega} (\mathcal{X} - Q_i),\ \text{each $Q_i \in \Lambda$} \end{align*} とする。 $R_{2i} = P_i, R_{2i+1} = Q_i$とおくと \[ P \cup Q = \bigcup_{i \in \omega} (\mathcal{X} - R_i). \] よって$\lor$で閉じている。また、 \[ P \cap Q = \bigcup_{i, j \in \omega} (\mathcal{X} - P_i) \cap (\mathcal{X} - Q_j) = \bigcup_{i, j \in \omega} (\mathcal{X} - (P_i \cup Q_j)) \] であり仮定より各$P_i \cup Q_j \in \Lambda$なことより$P \cap Q \in \bigvee^\omega \neg \Lambda$.よって$\&$で閉じている。 //
項目2の証明。 $P \subseteq \mathcal{X} \times \omega$とする。 $P_i(x) = P(x, i)$とおくと各$P_i$は$P$の連続代入なため、$\Lambda$の元である。 \[ (\exists^{\omega} P)(x) \iff x \in \bigcup_{i \in \omega} P_i \] となり、$\bigvee^\omega$で閉じていたことから、$\exists^\omega P \in \Lambda$である。 \[ Q(x, i, n) \iff i \lt n \land P(x, i) \] とおく。仮定より$Q \in \Lambda$である。すると \[ (\exists^\le P)(x, n) = \bigcup_{i \in \omega} Q(x, i, n) \] となるため、$\exists^\le P \in \Lambda$である。 次に$\forall^\le$について考える。 \[ Q_i(n, x) \iff n = i \land P(x, 0) \land \dots \land P(x, i) \] とおき、$R(x, n) \iff \bigvee_i Q_i(n, x)$とおけば$R$は$\forall^\le P$に等しい。よって$\forall^\le P \in \Lambda$である。 //
項目3の証明。 $P \in \bigcup_i \Lambda_i$とすると、ある$i$について$P \in \Lambda_i$。 すると連続写像$f$について$f^{-1}(P) \in \Lambda_i \subset \bigcup_i \Lambda_i$である。よって$\bigcup_i \Lambda_i$は連続代入で閉じている。
$P, Q \in \bigcup_i \Lambda_i$とすると、ある$i, j$について$P \in \Lambda_i, Q \in \Lambda_j$。 $k = max \{i, j\}$とおくと単調性より$P, Q \in \Lambda_k$。 よって、$P \cup Q, P \cap Q \in \Lambda_k \subset \bigcup_i \Lambda_i$. //
さて、以上の主張を使って、問題を示そう。 $\xi$に関する帰納法で示す。 $\xi = 1$については本文で証明済み。 $\eta \lt \xi$まで主張が正しいとする。 すると$(\boldsig^0_\eta : \eta \lt \xi)$は連続代入、$\lor$, $\&$で閉じたpointclassの列の増大列であるから、$\bigcup_{\eta \lt \xi} \boldsig^0_\eta$も連続代入、$\lor$, $\&$で閉じている (by 主張の3番)。 よって主張1より$\boldsig^0_\xi = \bigvee^\omega \neg (\bigcup_{\eta \lt \xi} \boldsig^0_\eta)$も連続代入、$\lor$, $\&$で閉じている。 また、可算和の可算和はまた可算和で表せることから$\boldsig^0_\xi$は$\bigvee^\omega$で閉じている。 したがって、主張2より$\boldsig^0_\xi$は$\exists^\le, \forall^\le, \exists^\omega$でも閉じている。
$\boldpi^0_\xi$に関する閉包性質は「連続代入、$\lor$, $\&$, $\exists^{\le}, \forall^{\le}, \forall^\omega$と$\bigwedge^\omega$で閉じている」である。 $\bolddelta^0_\xi$に関する閉包性質は「連続代入、$\lor$, $\&$, $\exists^{\le}, \forall^{\le}, \neg$で閉じている」である。 これらは$\boldsig^0_\xi$の閉包性質と定義から直ちに分かる。 □