作成者: @fujidig, 作成日: 2020/4/13
Moschovakisの"Descriptive Set Theory" (2009)の1c節のExercisesの解答です.
$P \subset \mathcal{X}, Q \subset \mathcal{Y}$が$\boldsig^0_n$であるとき,その直積$P \times Q \subset \mathcal{X} \times \mathcal{Y}$も$\boldsig^0_n$であることを示せ.
射影$\proj_{\mathcal{X}}: \mathcal{X} \times \mathcal{Y} \to \mathcal{X}, \proj_{\mathcal{Y}}: \mathcal{X} \times \mathcal{Y} \to \mathcal{Y}$は連続写像である.
よって,$P, Q$が$\boldsig^0_n$なので,連続代入を行った$\proj_{\mathcal{X}}^{-1}(P), \proj_{\mathcal{Y}}^{-1}(Q)$も$\boldsig^0_n$である. ところが,今 \[ P \times Q = \proj_{\mathcal{X}}^{-1}(P) \cap \proj_{\mathcal{Y}}^{-1}(Q) \] である.よって,$\boldsig^0_n$が有限個の共通部分で閉じていることから$P \times Q$は$\boldsig^0_n$である. □
各$n \gt 1$について,もし$P \subset \mathcal{X} \times \omega$が$\boldsig^0_n$ならば,$P^\ast$ in $\boldsig^0_n$で$P$をuniformizeするものが存在する.
\[ P(x, m) \iff (\exists i)Q(x, m, i) \] で$Q$は$\boldpi^0_{n-1}$であるようにとる. \[ R(x, s) \iff Q(x, (s)_0, (s)_1) \land (\forall t \lt s)\neg Q(x, (t)_0, (t)_1) \] と$R$を定め, \[ P^\ast(x, m) \iff (\exists i)R(x, \pair{m, i}) \] と定める.
このとき$R$は$\boldpi^0_{n-1}$であり,よって$P^\ast$は$\boldsig^0_n$である.
$P^\ast$が$P$をuniformizeすることを示そう.
$P^\ast \subset P$なことについて.これは明らか.
$x \in \exists^\omega P$とする. このとき \[ (\exists m)(\exists i)Q(x, m, i) \] である. つまり,$Q(x, (s)_0, (s)_1)$となるような自然数$s$が存在するが,このような$s$のうち最小のものをとる. すると$R(x, s)$が成立し,$P^\ast(x, (s)_0)$となる. よって,$\exists^\omega P = \exists^\omega P^\ast$.
$P^\ast(x, m)$かつ$P^\ast(x, m')$ならば$m = m'$なことは$R$の定義より直ちにわかる. □
各$n > 1$について,どんな集合の組$P, Q$ in $\boldsig^0_n$も$P^\ast, Q^\ast$ in $\boldsig^0_n$によってreducibleであることを示せ.
\[ R(x, m) \iff (P(x) \land m=0) \lor (Q(x) \land m=1) \] で定義される集合を考える.これは$\boldsig^0_n$である.
$R$をuniformizeする$R^\ast$ in $\boldsig^0_n$をとる. このとき \[ P^\ast = R_0, Q^\ast = R_1 \] とおく.ただし$R_i$は$R$の$i \in \omega$による切り口である.
すると,$P^\ast, Q^\ast$は$\boldsig^0_n$であり,$P, Q$をreduceしている. □
各$n > 1$について,どんなdisjointな集合の組$P, Q$ in $\boldpi^0_n$も,$\bolddelta^0_n$集合で分離される.
$P \cap Q = \emptyset$より$(\mathcal{X} \setminus P) \cup (\mathcal{X} \setminus Q) = \mathcal{X}$である. $\mathcal{X} \setminus P$と$\mathcal{X} \setminus Q$は$\boldsig^0_n$集合なのでExercise 1C.7より$P^\ast$, $Q^\ast$ in $\boldsig^0_n$でreduceされる. すなわち, \begin{align*} P^\ast \subset \mathcal{X} \setminus P \\ Q^\ast \subset \mathcal{X} \setminus Q \\ P^\ast \cup Q^\ast = \mathcal{X} \\ P^\ast \cap Q^\ast = \emptyset \end{align*} となる.
$P^\ast$と$Q^\ast$は互いの補集合だからそれぞれ$\bolddelta^0_n$である. $P \subset \mathcal{X} \setminus P^\ast, Q \subset \mathcal{X} \setminus Q^\ast = P^\ast$なのでこれで$P, Q$は$\mathcal{X} \setminus P^\ast$で分離された. □