作成者: @fujidig, 作成日: 2019/11/2
Moschovakisの"Descriptive Set Theory" (2009)の1B節のExercisesの解答です.
$\mathcal{X} = X_1 \times \dots \times X_k$がproduct spaceで,少なくとも一つの因子$X_i$が$\mathcal{N}$で,どの因子$X_j$も$\mathcal{N}$または$\omega$のとき,$\mathcal{X}$は$\mathcal{N}$と同相なことを示せ.
Exercise 3D.13の解答を見よ. □
$\mathcal{X} = X_1 \times \dots \times X_k$がproduct spaceで,少なくとも一つの因子$X_i$が$\omega$以外だとする.このとき$\mathcal{X}$はperfect Polish spaceである.
perfect Polish space二つの直積がperfect Polish spaceなこと,perfect Polish spaceと$\omega$の直積がperfect Polish spaceなことからわかる. □
pointset $P$が$\boldsig^0_2$であるのは \[ P = \bigcup_{i=0}^\infty F_i \] で各$F_i$が閉集合のときである.
同様にpointset $P$が$\boldpi^0_2$であるのは \[ P = \bigcap_{i=0}^\infty G_i \] で各$G_i$が開集合のときである.
$\boldsig^0_2$に関する主張のみ示す. $P \subset X$が$\boldsig^0_2$なら閉集合$P' \subset X \times \omega$がとれて, \[ P = \exists^\omega P'. \] このとき$P'$の$i \in \omega$に関するsectionを$P_i \subset X$とすれば,$P_i$は閉集合で, \[ P = \bigcup_{i=0}^\infty P_i \] となる.逆に各$P_i$が閉集合として,$P$がこの形に書けているとき \[ P' = \bigcup_{i=0}^\infty (P_i \times \{i\}) \] とおけば,$P'$は閉集合であり, \[ P = \exists^\omega P' \] となるので,Pは$\boldsig^0_2$である. □
$f: \R \to \R$を任意の関数とする.このとき \[ A = \{ x \in \R : \text{$f$は$x$で連続} \} \] は$G_\delta$集合なことを示せ.
$N \subset \R$に対して \[ V(N) = \sup_{x \in N} f(x) - \inf_{x \in N} f(x) \] とおき, \[ v(x) = \inf_{\text{$N$: nbd of $x$}} V(N) \] とおく.
∵) $\inf$の定義に戻ると$v(x) = 0$であることは, どんな$\varepsilon > 0$に対しても$x$の近傍$N$が存在して$V(N) \lt \varepsilon$となることと必要十分である.これは$f$が点$x$で連続であることの定義そのものである. //
∵) $x \in A_\varepsilon$とする.すると$v(x) \lt \varepsilon$なので,ある$x$の近傍$N$が存在して$V(N) \lt \varepsilon$である. $N \subset A_\varepsilon$を言う. $y \in N$とする.このとき,$y$の近傍$U$で$U \subset N$なものがとれる. すると$V(U) \le V(N) \lt \varepsilon$なので$y \in A_\varepsilon$である. 以上より$A_\varepsilon$が開集合なことが示された. //
主張1より, \[ A = \bigcap_{n \in \omega} A_{1/(n+1)} \] が従う.しかし,主張2より各$A_{1/(n+1)}$は開集合なのだから,$A$は$G_\delta$集合である. □
$n \ge 3$が奇数ならば,$P$が$\boldsig^0_n$であることはある開集合$G$があって \[ P(x) \iff (\exists t_1) (\forall t_2) (\exists t_3) (\forall t_4) \dots (\forall t_{n-1}) G(x, t_1, \dots, t_{n-1}) \] となること同値である. 同様に$n$が偶数ならば,$P$が$\boldsig^0_n$であることはある閉集合$F$があって \[ P(x) \iff (\exists t_1) (\forall t_2) (\exists t_3) (\forall t_4) \dots (\exists t_{n-1}) F(x, t_1, \dots, t_{n-1}) \] となること同値である.
同様の標準形を$\boldpi^0_n$ pointsetsに対しても求めよ.
$n$に関する帰納法 (変数が1個でなく一般の$m$個で示し,$\boldpi^0_n$についても同時に帰納法で示す). 全ての場合を扱うと大変なので,一つの場合だけ示す. $P$が$\boldsig^0_{2k+1}$だとすると,$P = \exists^\omega Q$で$Q$は$\boldpi^0_{2k}$と書ける. 帰納法の仮定より,$Q$は \[ Q(x_1, \dots x_m, t_1) \iff (\forall t_2) (\exists t_3) (\forall t_4) \dots (\forall t_{n-1}) G(x_1, \dots, x_m, t_1, t_2, \dots, t_{n-1}) \] と書ける. よって, \begin{align*} P(x_1, \dots x_m) &\iff (\exists t_1) Q(x_1, \dots x_m, t_1) \\ &\iff (\exists t_1)(\forall t_2) (\exists t_3) (\forall t_4) \dots (\forall t_{n-1}) G(x_1, \dots, x_m, t_1, t_2, \dots, t_{n-1}) \end{align*} となるので$P$は題意の形である. □
$\mathcal{X}$が$\omega$と$\mathcal{N}$のコピーたちの積であるとする. $P$が$\Sigma^0_n$で$n$が奇数であるとする. このときclopen set $R$が存在して, \[ P(x) \iff (\exists t_1) (\forall t_2) \dots (\forall t_{n-1}) (\exists t_n) R(x, t_1, \dots, t_n) \] と表される.偶数の$n$については最後の量化子$\forall$として同様のことが成立する.
Exercise 1B.6より開集合$G$があって, \[ P(x) \iff (\exists t_1) (\forall t_2) (\exists t_3) (\forall t_4) \dots (\forall t_{n-1}) G(x, t_1, \dots, t_{n-1}) \] となる. 今,$\mathcal{X}$は零次元 (かつ第二可算)なのだから,開集合は可算個のclopen集合の可算和で表される: \[ G = \bigcup_n R_n. \] 集合$R$を \[ R(x, t_1, \dots, t_{n-1}, t_n) \iff R_{t_n}(x, t_1, \dots, t_{n-1}) \] と定めると,$R$もclopen集合である. すると, \[ P(x) \iff (\exists t_1) (\forall t_2) \dots (\forall t_{n-1}) (\exists t_n) R(x, t_1, \dots, t_n) \] が成立している.偶数の$n$についても証明は同様. □